2018年1月18日木曜日

おカネの教室/高井浩章

笑えて、ちょっと泣けて、深い。読めば経済や世の中が違って見えてくる。―本書、帯より。


小学6年生の木戸隼人は、サッカー等の希望するクラブに入るクジに負けて「そろばんクラブ」に入ることになってしまう。
クラブのメンバーは同学年で街一番のお金持ちのご令嬢・福島乙女と担当講師の江守という2メートルを超す大男。
妙な取り合わせの上に、そろばんクラブを謳っておきながらそろばんは一切使わない、正式名称は「そろばん勘定クラブ」だと聞かされ、お金に関する難問、珍問を毎回のように宿題に出される始末。
最初は受け身の姿勢で入ったクラブだったが、講師の江守に導かれて見えてくるおカネについての新たな景色と、同学年の福島の抱える問題と向き合う中で、少年・木戸も成長を遂げていく、といったストーリー。
タイトルだけだと実用書とも思われますが、実用を兼ねた少年少女の成長物語だったりします。

本書が秀逸だと感じた点は
  • 金融のプロであった江守が小学生に対しておカネの授業をするという設定なので、一般的な社会人でもよく分かっていない経済の仕組みや金融の知識などについても理解するためのハードルが低い
  • 別の章で解説した用語や仕組みについても登場人物が復習するのに合わせて何度も触れてくれるので、反復できることで知識として残りやすい
  • メインの登場人物に独自のニックネーム(江守→カイシュウ、木戸→サッチョウ、福島→ビャッコ)をつけることで、メインキャラクターへの親近感が得られる
  • それ以外に中心人物の親族など近しい人のみでストーリーが構成されているので、相関が整理しやすい
  • カイシュウ先生が子どもたちに出した宿題は次章にて解説となるので、続きへの興味が湧きやすい
  • 本書の中でポイントとなったことをビャッコが終盤で「発表」してくれるので、要点のおさらいができる

といったところです。
そして本書の中で触れられていた主な項目としては
  • おカネを得る方法は6通りある
  • 世の中はおカネを「かせぐ」「もらう」「ぬすむ」人にそれぞれ分けられる
  • 必要悪と不必要な悪
ということになります。

おカネを得る方法6つ目は物語の終盤にかけてサッチョウとビャッコも気づくことになるのですが、カイシュウ先生が段階を追って丁寧に授業を進めてくれるおかげで読んでいる僕も子どもたちと同じようなタイミングでピンとくる、という出来の良さ。
聞くところによると、筆者も自身の子どもたちに伝えることを思って書いたとか。
また発行されたのも2017年なので、スマホなどの現代のツールが登場するのはもちろん、今世間をにぎわせている仮想通貨も登場するので、世界観に入りやすい。
物語としてもサッチョウがビャッコに想いを寄せていき、彼女と一緒に過ごせる時間を楽しんだり支えになることができないかと考えたりと、ほほえましい恋心の動きが描かれていて楽しめました。
個人的な思いとしては、実写化してほしいなぁというところ。

「おカネ」というものへの捉え方を、楽しくわかりやすく知って考えることができる、良書だと感じました。



1 件のコメント:

  1. Kindle版、ご愛読ありがとうございます。
    3月16日に書籍版が出版されることになりましたので、お知らせします。amazonで予約が始まっています。
    全面的に改稿して大幅パワーアップしていますので、機会があったら是非、お手にとっていただければと思います。

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