2021年2月23日火曜日

あの人の代わりはいない!ことがすでに大ピンチ。

 まずはこちらのtweetをご覧ください。

漫画家・一智和智さんがTwitterで掲載されている「便利屋斎藤さん、異世界へ行く」の一幕です。斎藤さんが風邪をひいてしまいパーティから離脱している間、他のメンバーが魔物退治中心に活動していたところ、パーティの潤滑油となっていた斎藤さんがいないことで困った、という話。

斎藤さんは転生して後からパーティに加わったメンバーです。それまではラエルザ、モーロック、ラファンパンの3名のパーティで成立していました。悪い言い方をすれば、もともと斎藤さんは「このパーティにとって特に必要とされていない人」でした。

一方で、転生する前便利屋の従業員として働いていた斎藤さんは、代わりはいくらでもいると言われながら仕事をしていました。つまり、元居た世界でも特に必要とされている実感を得られていなかったわけです。

しかし、このパーティ、というよりこの世界では斎藤さんの代わりはいません。これは斎藤さんにとって自己の存在価値などを大きく見直すきっかけとなります。その辺は漫画本編の方で十分ご覧いただけるとして…。

ここで触れたいのは「「この人の代わりはいない」と言われる人のすばらしさと、その状況を作っている組織の脆さ、弱点」というお話です。

斎藤さんは、もともと持っていた便利屋としての能力をダンジョン探索で役立てることに加えて、前線に立つ戦士には敵に合わせた武器の供給をし、後衛の回復役の盾となり、呪文の詠唱の文言を忘れがちな魔法使いの補助を行うなど、自らの努力と工夫でパーティにおける立ち位置を確立させていきました。これは斎藤さんの努力の賜物であり、このお話の正の面の教訓だと思います。立場は何もせず待っていれば与えられるものではなく、自らの努力と工夫で作り出すことができる。なんだかコロナ禍の現状と少し似ていますね。

片や、パーティとしては斎藤さんというピースが欠けたとたんに機能しなくなりました。これは、組織において「あの人がいるから大丈夫」と思われていた人(思われていなくてもそういう存在になっていた人)が不測の事態でいなくなると、極端に言えば内部から崩壊してしまうという事態を招くことと重ねて見ることができるなと思いました。もちろん、漫画内のパーティはもともと少人数のユニットなので代役を臨時で補填することは難しいですが、現実でもそのような組織はおそらく山ほど存在します…。

ではどうするべきか?私見ですが、例えばこのパーティでは斎藤さんが担っていた役割を残った3人でうまく分担することが必要でしょう。そのためにはまず、斎藤さんが担っていた役割を可視化して各自が認識する必要があります。おそらくこのパーティはそれぞれが斎藤さんに助けられていることは自覚していても、それがパーティの他のメンバーにも及んでいてその相乗効果でパーティがうまくいっていることまではきちんと認識してないのではないかと思います。現実の組織でもそうです。組織の要となっている「あの人」が担っている役割を正しく認識する必要があります。そのために、その人が行っていることを可視化・言語化・手順化する必要があります。こうすることで、非常事態が起こって欠けた人の穴を埋める必要が生じたとき、組織が機能しなくなることを少しでも防げるのではないかと思います。

少し読み方を変えると、正負の両面を表した教訓だなぁと感じたお話でした。

(余談ですが、組織の要の人の役割を可視化・言語化・手順化する作業って、往々にしてその要の人本人に押し付けられがちですよね…笑)

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